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ビタミン剤の様なエッセイ本

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『일단 오늘은 나한테 잘합시다』
ひとまず今日は自分を癒してあげよう
作・絵/도대체
13,800₩

 

黄色の表紙に描かれた可愛らしい絵とタイトルが目に留まり、手にした一冊です。漫画や絵が多く、ページごとに話が完結している形なので、瞬間で開いたページを読んでも楽しむことができます。長い文章はほとんどなく、まだ韓国語に不慣れな人でも手に取りやすいかと思います。また、日常を描いたものなので、教科書では学べない口語表現も多く、韓国語の自然な会話力を身につけたい人にも最適です。

 

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全体的には、著者の会社員生活とプライベート時間を通じたエピソードやメッセージが書かれています。夢や希望の強要や、堅苦しい言葉は一切なく、くすっとした笑いを与えてくれます。しかし、その笑いの中には、言葉では表現されていない人生の重みや痛みも込められていて、胸に沁みる何かを感じられるはずです。

 

個人的に、プロローグに出てくる「幸せなさつまいも」の話が印象的でした。要約してご紹介しますね。

 

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高麗人参畑にいるさつまいもは、自分ももちろん高麗人参だと思っていました。
ところが、ある日、自分が高麗人参でないことを知ったのです。
しかし、さつまいもは残念がったり挫折感を味わったりすることはありませんでした。
高麗人参でなくても、さつまいもでなくても。
さつまいもは、どんな姿であっても、幸せでいられるのです。

 

このプロローグが可愛らしい漫画で登場するのですが、他人と自分を比較して嘆いたり、他人を羨んだりしてしまいがちな私には、意味深い内容でした。誰かの様に成功していなくても、容姿が優れていなくても、自分だけの特別な何かがなくても、存在することよって幸せな人生を歩むことができるということを教わった気がします。読み終えた後、自分で自分を認めて、自分に与えられた人生を認めようと、前向きになれたことをよく覚えています。

 

余談ですが、作者のペンネームは「도대체」です。意味は「一体どうしたのか?」「一体誰なのか?」の「一体」です。ペンネームの意図は分かりませんが、何となく笑いが込み上げてきます。最初から最後まで読者を元気づけて楽しませてくれるセンスの高さに感動してしまいました。


学校や職場で泣きたくなった日、家で一人寂しさを感じた日、この本をそっと開いてみると、いつの間にか笑顔になれるかもしれません。タイトルにもなっている「癒し」を 感じられるはずです。悩み、疲れてしまった人に、この本が明日を生きるビタミン剤になりますように。