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韓国の非正規社員男性が10年間寄付…その理由は?

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「世の中を変えるのは難しく見えますが、自分を変えるのは簡単なことです」

 

このような信念から寄付を続けて10年目。非正規職を転々としながらも、100万ウォンを年平均2回行っている。決して自身の経済状況に余裕があるわけではないが、給料の中から寄付金をまかなっている。

 

男性チェ氏は、幼少期を釜山で過ごした。貧しい家庭環境により、家族がバラバラに生活せざるを得ない状況だった。幼いチェ氏は母親と2人きりで暮らしていた。ところが、母親との不和や学校内のいじめなどにより、通常の学校生活が不可能になってしまった彼は、14歳で退学することになった。

 

チェ氏が22歳になると、唯一の同居人だった母親が事故でこの世を去ってしまった。当時、家賃の支払いすらできなくなり、祖母の家や寺などを渡り歩き、最終的にはソウルで働く姉を頼りに上京した。そして塾に通いながら勉学に励み、26歳で中学校・高等学校検定試験に合格した。

 

高卒になったが、就職できる所は限られていた。彼は工事現場などの日雇い職を転々としながら、27歳の時にソウル東大門区A高校給食室でアルバイトを始めることにした。1学期働いて貯まったお金は300万ウォン。その中の100万ウォンをA校に寄付した。「給料をもらった時、胸がいっぱいになり、漠然と何か良い行いをしてみようと思いました」これが「10年寄付」の第一歩だった。

 

チェ氏の寄付は、A校に在学中の学生に伝えられた。彼はとある学生に会った日を忘れられないと言う。「学生に会う前、校長先生から生徒の事情を聞いたのですが、涙がぼろぼろこぼれ落ちました。僕のように辛い人生を生きてきたような気がしたんです」チェ氏はその日、母親が亡くなった時と同じくらい泣いたと言う。「学生が何度も頭を下げて感謝してくれたのですが、その瞬間“誰かを助けたい”という切実な感情が生まれたんです。これまで生きてきた中で抱いたどのような感情よりも純粋な気持ちでした」

 

この日の決心から、チェ氏の寄付はすでに10年目を迎えている。彼の助けを受けた学生は14人にものぼっている。非正規職の収入であることから、ギリギリの生活をしなければならないが、寄付だけは諦めていない。「月収が100万ウォンに満たない日も多かったです。体調が優れず病院に行ったものの、治療費の支払いが難しかったこともありました」もちろん今も余裕がある生活とは言えない。今年初めまで在職していたハンドバッグ会社が倒産の危機に瀕し整理解雇遭い、現在働いて大根キムチ工場でも不当解雇されたが、ようやく復帰したと言う。

 

それでもチェ氏が寄付を続ける理由は確固たるものだった。「助けが必要な学生を見ると、自分が苦労した幼少期が思い出されるんです。僕が助ける学生が、本当にやりたいことをして、自分が望む人生を生きてくれたらと思います。僕の人生よりも、今まで助けた学生の将来が良くなることを陰ながら祈っています」

 

チェ氏は、12日にも西大門区B高校に100万ウォンを寄付した。これまでよりも少し安定した仕事を持つようになり、より多くの金額を寄付するのが夢だと語る。「世の中を変えるのは難しく見えますが、自分を変えるのは簡単なことです。僕が誰かに良い影響を与えれば、その誰かが別の人に良い影響を与えるでしょう。このように世界を変えていくことは可能だと僕は信じています」