東京オリンピックジレンマ…中止すれば運営費の2〜3倍に達する経済損失
来年7月に開かれる東京オリンピック開催について、日本国内でも反対世論が高まっている。19日の1日だけでもコロナウイルス感染者が511人発生するなど拡大の勢いは止まることなく、オリンピックに対する情熱も消えかかっている様子だ。最近の世論調査で、来年のオリンピックを中止または延期すべきだという回答が61%を占めたが、いざオリンピックを中止すれば、オリンピック開催費用の2〜3倍を無駄にする計算になり、日本はまさに「オリンピックジレンマ」に陥っている。
20日、朝日新聞の世論調査で、来年夏に延期された東京オリンピックの開催時期を問う質問に対して、33%が「来年夏に開催すべき」と答えた。逆に、再延期・中止を希望する回答は61%に達した。
否定的な世論が広がる中、東京2020組織委員会の森喜朗会長は、オリンピックを中止する場合、より大きな被害が発生すると主張した。彼は去る18日に行われた第136回総会で「すでにオリンピックのための投資が行われており、もしオリンピックが中止されれば、あまりにも多くの無駄が発生する」と述べた。競技場を建設し、オリンピック運営のための準備がある程度進んでいただけに、オリンピックを開催しなければ損失が更に大きくなるということだ。森会長は「オリンピック運営費の2〜3倍に達する経済的損失になるだろう」と説明した。
先に日本のメディアは3月、東京オリンピックを1年延期すると経済損失が6400億円(約7兆3000億ウォン)に達するという見通しを出した。スタジアム、選手村の維持・管理費、各競技団体の代表選抜などの再開催経費などを合算して、6408億円の経済損失が発生すると推定した。東京オリンピックが中止になると、大会運営費や観客の消費支出などが消え、大会後の観光振興や文化活動などの経済効果も弱まることから、4兆5151億円(約52兆ウォン)の経済損失に達するとも推定した。オリンピック延期により発生した追加3000億円を、IOCが最大700億円負担する意向を示したが、残りの費用について組織委員会、東京都、政府がどのように分担するかについての議論は進んでいない。
これについて東京オリンピック組織委員会は、オリンピックの簡素化を進めている。この日、組織委側は「スケジュールを簡素化することができる200種類の方法を議論中」と明らかにした。開会式と閉会式は国別入場行進を省略し、参加者との時間を大幅に削減し、大会期間には選手と観客の両方を対象に感染検査を実施する案などを検討していることが分かった。
しかし、日本の医療専門家の間では、大会を中止しなければならないという声が出ている。大阪の病院感染管理チーム森井大一氏は「オリンピックを開催すれば、最終的に感染が火がつくのは目に見えている」とし「オリンピックというイベントと共にコロナウイルスも流入するわけであり、感染件数は必然的に急増する」とロイター通信に語った。
特に、現在開発中のワクチンは100個超えるが、来年のオリンピックまで200もの参加国選手たち全員がワクチン接種を終えられる可能性も少ない。 東京医大の濱田篤郎教授は「オリンピック開催前にワクチンが開発されるとしても、全世界に流通されることはほぼ不可能」と指摘した。