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BTS『Dynamite』ビルボード1位に輝くも国内ファンは不満?葛藤深まるK-POP

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K-POPのカテゴリーは一体どこまでなのだろうか。これはBTS防弾少年団)の『Dynamite』によって投げられた新たな課題とも言える。韓国歌手で初めてビルボードシングルチャート(HOT 100)上にランクインするという栄光を成し遂げたが、4連続アルバムチャート1位を記録した前作とは異なり、英語のシングル形式で発表されたからである。このため、2012年に発売されたPSYの『カンナムスタイル』のように、外国語曲の最大の弱点として指摘されてきた“ラジオ放送回数の引き上げ”には成功したものの、海外派が1人もいない、7人のメンバーが自分たちの話を込めて韓国語で歌ってきたBTSの成長物語とは相反する。過去7年間にわたって彼らが積み上げてきたアイデンティティからは一歩落ち込む成果だ。

 

これは単にBTSだけでなく、第3世代アイドルが直面した共通の課題でもある。内需市場を狙っていた第1世代のアイドルのH.O.Tや、海外市場に目を向け始めた第2世代のBIG BANGとは異なり、第3世代は最初から世界を舞台に活動してきた。特に、2018年5月にBTSがアジア歌手としては初となるビルボードアルバムチャート1位を占め、中心軸は完全に移された。新曲が発表されると、視聴回数などで次々と新記録を達成し、様々なギネスワールドレコードを更新した。韓国より海外でより大きなファン層を構築することになり、韓国歌手が韓国語で歌うことが当然ではない世界が来るわけだ。

 

しかし、これをめぐる不満も少なくない。海外市場が中心になることで、国内のファンを冷遇しているというものだ。海外ファンの中でも、「K-POPの独特な魅力が半減した」「群舞が引き立つ古いスタイルが懐かしい」と、英語曲よりも韓国語の曲を好む場合も多い。『葛藤するK-POP』を書いたジョージ・メイソン大学のイ・ギュタク教授は、「K-POPという用語自体が海外で先に使用されただけに、グローバル市場とは切っても切れない関係」とし「ここに韓国の民族主義的属性が加わったため、元々葛藤を誘発するようになっている」と指摘した。ほとんどの曲が英語でされたスウェーデンディッシュポップや、スペインの文化圏全体を網羅するラテンポップとは異なり、韓国を意味する「K」が付いた「Kインディーズ」「Kロック」などに細分されている状況で、必然的に辿る問題であるという見解だ。

 

2009年Wonder Girlsの『Nobody』が韓国歌手初の「HOT 100」で76位にランクインした時とは異なる視点で見なければならないという話も出ている。キム・ユンハ大衆音楽評論家は「BoAの『Eat You Up』のように、アメリカ市場に進出するために英語曲を作ったのとは異なり、BTSやBLACK PINKは韓国語曲でファン層を固め、そのファン層が拡大したことで、英語曲が必要になったのが最大の違いだ」と指摘した。続いて「一段階レベルアップをするためにも一度してみるに値する試み」とし「『Dynamite』はコロナウイルスの時期に、世界へ投げかける希望的なメッセージ性が合致したことから相乗効果となった」と付け加えた。

 

今、ツートラックに行くべきだとする分析もある。韓国の音楽市場規模が6位に立ったが、1位のアメリカや2位の日本とはスケールが大きく異なるからである。イ・ギュタク教授は、「日本の音楽市場が韓国より7倍ほど大きいが、アメリカは、日本の3〜4倍に達する圧倒的な1位の市場」とし「必ずしも英語のアルバムでなくても、音楽・パフォーマンス・ビジュアル要素などK-POPの特徴を維持しながら、2〜3曲ずつ英語曲を並行する形で進行することになるだろう」と展望した。キム・ユンハ評論家は「JYPエンターテイメント所属ガールグループNiziUはメンバー9人全員が日本人であり、日本でデビューしたが、J-POPではなく、K-POPグループとして認識されている。メインプロダクションが韓国で行われたからだ」と語った。続いて「韓国では、イギリス音楽をしてもブリットポップバンドと呼ばれるように、K-POPもジャンル化されている傾向にある」とし「K-POPの定義も、メンバーの国籍や言語だけでなく、プロデューサーや資本など多角的に見なければならない」と付け加えた。