こぐまぶっく

韓国ニュースと韓国お役立ち情報を紹介

「1年だけ耐えよう」…廃業の危機からコロナで大当たり

f:id:lemon751231:20200820004655j:plain

 

新型コロナウイルスの影響により、地下鉄駅、空港、デパート、スーパー、病院などの大型施設エスカレーターでは手すり殺菌装置が一般化し、世界各国の同施設でも設置が相次いでいる。自家発電に伴う紫外線殺菌技術によりコロナウイルスを死滅させるこの装置を世界で初めて開発し、市場を開拓した主人公は韓国の中小企業だ。2015年に世界初の製品を発売したクリアウィンコリアは「コロナ特需」により今年45ヶ国に輸出を増やし、売上高は前年比100倍になる見通しだ。

 

製品開発きっかけは娘の転倒事故

 

この会社の製品は275㎚(1㎚= 10億分の1m)波長のUV-C紫外線を出し、細菌やウイルスを死滅させる。エスカレーター手すりの移動力によって、内部のローラーが戻り、発電機を回してUC-Cを作るため、別途の電源装置やバッテリーが不要だというメリットがある。6月に韓国国内で唯一、アジア最大の人獣共通感染症研究所である全北大人獣共通研究所の臨床試験も合格した。この装置を作ったのも世界初であったが、コロナウイルス死滅能力を臨床試験で実証したのも世界初であった。

 

2019年1月にクリアウィンコリアを設立したキム・ユチョル社長とキム・ギョンヨン副社長は、従兄弟関係だ。この製品を最初に構想したのはキム副社長である。2013年に大型ショッピングモールで衛生に敏感な小学生の娘が、手すりを握らずエスカレーターに乗ったところ、転倒する事故を経験したことが製品開発のきっかけとなった。

 

彼は化学薬品を使用せずに、人体に無害で恒久的な殺菌機能装置を研究し、細菌やウイルスを殺菌する紫外線UV-Cの効果に注目した。また、偶然訪れた自転車店の自家発電式の照明からヒントを得た後、2014年には電線で接続しなくても動作する自家発電式エスカレーター紫外線殺菌を世界に先駆けて開発した。以後、韓国はもちろん、アメリカ、ヨーロッパ、中国、日本など総19個の特許を出願した。

 

社債まで借りるも結果は「大逆転」

 

同社は、製品の発売からコロナウイルスが全世界的に流行する前の昨年末までの5年間「暗黒期」を迎えた。製品開発コスト20億ウォンに人件費など20億ウォンの借金が加わり、高金利社債まで動員したからだ。従業員には6ヶ月ほど給料を与えることができず、昨年は従業員11人中1人だけが残り、10人は退社した。大型ビル冷暖房空調メンテナンス会社を運営していたキム副社長の従兄弟であるキム社長が、大金を投じて起業しようとしたが、成す術がなかった。キム社長は「当時は非常に厳しい状況で、全世界の特許をすべて売り払う計画まで立てた」とし「これまで培った技術力が惜しく“1年だけ耐えて廃業しよう”と念を押した」と回想した。

 

クリアウィンコリアは今年2月、世界中からのオーダーで溢れ、「書き入れ時」を迎えた。3月には京畿安養工場を増設し、月に3,000台のから7,000台の生産体制を整えても、注文が入れば2〜3週間後に全製品が引き渡しされるほどの需要スピードだった。

 

韓国国内の主要地下鉄駅はもちろん、新村セブランス病院、梨大木洞病院、高麗大病院などをはじめ、新世界デパート、現代デパート、汝矣島IFCモール、光化門Dタワーなどに設置された。サムスン電子水原事業場、サムスン火災瑞草社屋、LGツインタワー、LGソウル駅光化門ビル、CJ乙支路ビル、KT光化門ビルなどの主要企業社屋にも設置された。

 

海外では、英国ロンドン・ヒースロー空港、米国ヒューストン空港をはじめ、中国、サウジアラビアアラブ首長国連邦UAE)、マレーシア、タイ、台湾、フィリピンなどの空港と地下鉄駅、病院、ショッピングセンターなどに相次いで設置された。近い将来、日本の東京駅と大阪駅、イギリスロンドンの地下鉄駅、ニューヨークの地下鉄駅にも設置される予定である。

 

現在の状況が続けば今年は2万台の販売も可能で、今年の売上高は80億ウォンと、昨年(8,000万ウォン)の100倍になるとキム社長は予想した。また、「来年上半期には工場増設を通じて月1万5,000台の生産能力を確保したい」と述べた。