韓国国民55%「南北統一は不要」…文政権から対北朝鮮意識が急速悪化
南北分断の歴史が長くなり、南北関係に改善の余地が見られることなく現政権になると、統一と北朝鮮に対する国民の認識が、朴槿恵(パク・クネ)政権末期よりも悪化したことが分かった。統一を長期の念願課題として推進する現政府機関が調査をしたところ、南北統一を不要とする意見が過半数を超え、国民の90%が「北朝鮮が核を放棄するはずがない」と考えていることが分かった。
統一研究院が発表した「KINU統一意識調査」によると、回答者全体の54.9%は「南北が戦争せずに平和的に共存することができれば、統一は必要ない」と答えた。これは、過去2016年の最初の調査時(43.1%)より11.8%も急増した数値だ。「統一を好む」と答えた回答者は26.3%にとどまり、2016年37.3%より11.0%減少した。
南北統一が「国家の利益になる」と答えた割合は64.8%で「自分の利益になる」という意見(31.0%)の倍を超えた。朴槿恵政権末期の2016年で55.9%、29.4%だったことを見ると、差がはるかに大きくなったと言える。統一をすることになると、その形態については、回答者全体の40.2%が連合制を好むと回答し、28.7%は単一の国を好むと明らかにした。
「北朝鮮に対する関心があるのか」という質問に「関心ない」と答えた割合は、61.1%を記録した。2015年50.8%より10%以上増えたのはもちろん、60%を超えたのも今回が初めてだ。「関心ない」という回答の割合は、20代から70代以上までのすべての年齢層で55%を超えた。
南北関係が悪化の一途を駆け上がっながら、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)に対する信頼度が急激に墜落した。金正恩への信頼度は、2017年に8.8%まで墜落したが、2019年4月には33.5%まで増え、今年1年ぶりにまた15.6%まで落ちた。ただし金正恩との会話・妥協を追求しなければならないという回答は45.7%で、以前と同じ割合が維持される結果となった。
南北軍事力についての質問には「北朝鮮が強い」との回答(39.9%)が「韓国が強い」との回答(32.1%)を上回った。統一研究院はその理由を、北朝鮮の核兵器の恐怖からであると推測した。「北朝鮮が核兵器開発を放棄するものと思うか」という質問には、なんと89.5%が否定的に答えた。これは2016年71.3%より20%近く増加したレベルである。
韓米同盟の必要性については90.2%が「必要である」と答えた。これは、昨年93.2%より落ちた数値だ。在韓米軍駐留の必要性を肯定する回答も2019年91.1%から今年85.0%に落ちた。逆に「統一後は駐韓米軍駐留は必要ない」という回答は昨年45.9%から58.4%に増加した。
これは、アメリカ政府の最近の防衛費分担金圧迫などの余波が反映された結果として解釈される。実際に防衛費分担金に関しては、69.6%が現在水準維持を選択し、26.9%はより減らさなければならないと答えた。増額意見は3.5%に過ぎなかった。
日本の軍事的脅威と関連して「現在の脅威にならない」という回答は昨年39.3%から今年は62.2%になんと22.9%も急増した。「今後も脅威にならない」という回答も33.3%から55.0%に21.7%も増えた。
「大韓民国臨時政府と独立軍が韓国の独立に貢献した」との見方は、昨年56.1%から今年は71.1%に増えた。「日本と北朝鮮が戦争をする場合、北朝鮮を支援すべきである」という意見は2019年45.5%から今年49.0%と、わずかではあるものの増加した。「輸出規制と慰安婦問題について、日本に強硬に対応しなければならない」という意見には、63.0%が同意すると回答した。
韓国社会の各機関のための信頼度調査では、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がすべての機関を抜いて1位に記録された。文大統領は10点満点のうち5.8点の評価を獲得し、続いて政権(5.2点)、司法府(4.1点)、メディア(3.8点)、政党(3.3点)、国会(3.0点)の順であった。この調査は5月20日から6月10日までに満18歳以上の成人男女1003人を対象に行われた。票集誤差は95%水準で±3.1%である。